昭和24年滋賀県生まれ。昭和48年京都大学医学部卒業。
昭和54年京都大学大学院医学研究科修了。京都大学教授(平成4年〜25年)、京都大学医学部長・医学研究科長(平成16年~19年)を経て、現在、京都大学医学研究科特任教授(平成28年~令和5年は創薬医学講座主任)、同メディカルイノベーションセンター長。
大学院では、酵素学、蛋白質化学、物質同定などの生化学を学ぶ。ついで、英国Wellcome研究所 に留学、薬理学を学ぶ。帰国後、プロスタグランジン(PG)の研究を始め、一連のPG受容体を同定し、PGによる炎症、痛み、発熱、止血、血栓形成、排卵、陣痛のメカニズムを明らかにし、アスピリン様薬物の解熱、鎮痛、抗炎症作用の機序を最終的に明らかした。加えて、PGが免疫やアレルギー反応にも関わっていること、この作用を通じてがんの微小環境を含む様々な慢性炎症に関与していること、さらに、心理刺激にも応答して動物行動の制御も行っていることなどを明らかにしている。また、生体機能解析のプローブとしてボツリヌスC3酵素を発見、この標的としてRho蛋白質を単離し、その機能解析から細胞内で刺激に応じてアクチン細胞骨格が形成される仕組みを解明し、この経路が細胞では移動や分裂、突起退縮、悪性化などに働き個体では発生時の血管や神経系の構築、成体での血圧の調節、炎症細胞の遊走、がんの転移・浸潤などに働いていることを明らかにしている。いずれの研究においても、薬理学者として、生体機能に重要な働きを持つ分子を発見すると同時に、これを標的とする特異薬物を開発して治療に役立てることを目標としている。